文 本藤ほんどう房子(HONDO料理教室主宰)
イラスト 湯浅勇司(ユアサ)

心地よい食事(二)
私に孫ができて6月で3年になりました。
この孫は、野菜がとても好きで、歩くようになった頃から、冷蔵庫に入れる前の葉っぱをパリパリ食べたり、スーパーで持たせた葱を食べて「あら〜、この子葱食べてるわよ!」とお客さんに言われ、ビックリ、ハラハラさせられたものでした。
そして成長に従って手伝いと称し、椅子にのってキッチンに立ち、ママが切る端からそのまま口の中へ運びます。それはまるで立ち食い食堂です。
今では、煮干しを鍋に入れ、豆腐や若芽を切り、味噌を溶き、味噌汁作りの真似事をするようにもなってきました。
勿論、切った豆腐や若芽は、口の中に入りますが…。
このような状態ですから、肉や魚よりも野菜、豆腐、若芽大好きです。
パパ、ママはどうやら、「季節と野菜を大事にした」料理のできる男に育てたいらしいのです。
二人目の孫も生まれ、娘を見ていると、季節の食材を確認しながら、着実に食育をしています。その姿は、私の子育てを見ているようで、嬉しくもあります。
きっと次の代へと受け継がれていくものと思っています。
ここで、旬の食材、特に野菜との関係についてお話ししたいと思います。
私たち人間は、この地球と言う「風船」の様な中で生かされている動物です。
その中で春夏秋冬があり、季節ごとの豊かな食材をいただける、とても恵まれた土地に暮らしています。
春になると山菜など、野草が芽吹く季節。筍、わらび、蕗などの苦みのある灰汁は、冬の間、体内にたまった老廃物を体外に出してくれます。
そして寒さの中、耐え抜いて芽吹いた春野菜などの「生きる力」をいただくことができます。
夏になると暑さで火照った体温をトマトやキュウリ、ナスなどが冷やしてくれます。
秋になると熊のように、少ない食料の冬に向けて栗やさつま芋、里芋などでこれから向かう、食べ物の少なくなる冬に備えます。
冬になると体を温めてくれる、人参、牛蒡などの根菜類をとります。
このように、自然の恩恵を受けながら生かされている私たちは、旬のものを知らなければいけないのですが…。
今年も教室では春の香りの食材「蕗」の扱い方を取り上げました。
そんな時、蕗を食べるのが初めての人が多いことに、毎年驚かされています。
一年中通して豊かに見える食材で、季節とは無縁の食生活をしているようです
今の世の中、旬を認識するには、少々の努力が必要です。
そのようなことから、教室では旬の野菜のみのメニューを作り続け、旬をお伝えしているのですが…。どうぞ皆さんが、健康で無理のない、楽しい食卓に向かうことができますよう、祈るばかりです。
☆季節の野菜いろいろ・
浅漬け
茄子、胡瓜などをササッと塩で揉んだだけで、暑い夏にはとても食べやすい浅漬けになります。
冷蔵庫にある生で食べられる野菜をいろいろ漬けます。
香味野菜を加えると、また特別な風味の浅漬けになりますよ。
たかが浅漬けですが、されど浅漬け、胡麻和え、酢の物、おかか和え、梅肉和え、ドレッシングで、オイルと胡椒、酢などもサラッとかけて…と活用がたくさんあります。
これにおにぎりがあると、ちょっとした軽い食事にもなります。
〈材料〉
季節の野菜(キャベツ、レタス、人参、茗荷、胡瓜、パセリ、ミント、大葉、三つ葉、コリアンダー、セロリ…等) 
・塩 材料の2%      
〈作り方〉
@キャベツは一口大、人参は6、7o幅の短冊切り、胡瓜は縦半分の2、3oの斜め切り、茗荷は縦半分の斜め薄切り、大葉は1p幅に切る。
Aボールを秤にのせ、@を入れて重さを量り、分量の塩を加えて混ぜ合わせる。
B野菜に塩が馴染んだら、軽く揉んで小さめの容器に移し、ビニール袋に水を入れたものを上にのせる。又は大きめのビニール袋に詰め、真空状態にして冷蔵庫で保存する。
CBの水分を絞り、器に盛って黒胡麻、七味唐辛子などを振る。

☆茹で豚・刺身風
肉の刺身です。
これも夏場にとても良い一品です。冷やし中華、サラダ、和え物などに応用してください。
〈材料〉(四人分)
・豚もも肉塊300g ・葱の青い部分1/3本 ・生姜2片
・酒大匙2 ・塩大匙1 ・醤油、練り辛子 ・貝割れ1/3P ・人参30g ・胡瓜1/2本 ・大葉8枚
〈作り方〉
@豚肉に塩を擦りこむ。
A葱と生姜は叩きつぶす。
B鍋に@、A、酒とたっぷりの水を入れ、蓋をして強火にかけ、沸騰してきたら中火で5分、粗熱がとれるまで置く。
C人参、胡瓜、大葉を細切りにし、根を落とした貝割れと共に合わせる。
DBを刺身のように薄切りにし、器にC、豚肉を盛り、溶き辛子と醤油を添える。

 

 

次回は「オコゼ」です。