<第301回>

いちかわ人 インタビュー
伊藤智通 さん
               (聞き手・吉清太郎)


(いとう ともみち)写真家
1980年生まれ 市川の風景をまとめたサイト「まちメモ市川駅版」を運営 市川市内での活動を中心とした写真教室を開催
2015年 個展「まちメモ市川駅版『いちかわ』の写真展『まち』とか『そら』とか『ねこたち』とか」
2015年 フランス菓子 エリティエ(白山)&CAFE VANNIER(仙川)同時開催参加
2016年 写真集「わがまち市川」(郷土出版社)カバー・巻頭カラーページ写真を採用
2016年 国立新美術館(六本木)「平泉展」出展 新人賞受賞
2016年 株式会社ぐるなび JR東日本、東京メトロ、JAL、ANAなど計37社が参画する訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」トップページに写真採用
2017年 市川市観光交流推進課主催 アイ・リンクタウン展望施設「写真二人展 市川」開催

吉清 今月は7月19日(木)より木内ギャラリーで市川ゆかりの作家展 「伊藤智通 展 〜市川の風景〜」(p10に詳細情報が掲載されています)を行われる、写真家の伊藤智通さんにお話をお聞きします。
伊藤さんは市川市の風景などを紹介する「まちメモ市川駅版(以下まちメモ)」を運営され、日々市内の情景を細やかにフレームにおられます。出身は市川なんですか?
伊藤 生まれは埼玉の大宮なんです。でも生まれて直ぐに千葉の松戸に引っ越して、学生時代はずっと松戸で過ごしました。丁度市川と松戸の市の境あたりに住んでいましたので、市川に出ることは当時から結構多く、市川は昔から親しみのある町でした。結婚を機に10年くらい前から市川に住んでおります。
吉清 まちメモを始められた時期や、きっかけなどは?
伊藤 サイトを開設したのは7年ほど前ですね。これは私が現在市川で写真を撮っている事にもつながってくるのですが、大学を卒業してから働いてきた金融機関で6年間が過ぎた頃、そろそろ自分で何かをやってみたいな、という気持ちを抑えられず、結婚を機に妻より先に会社員を辞めてしまいました。退職後、地域のちょっとお得な情報なんかを集めるような情報サイトを作ってみたら面白いんじゃないかなと考え、開設したのがまちメモです。「まちメモ」の「メモ」は本当はお買い物メモの「メモ」から取ってつけたんです(笑)。
開始当初は現在の様な写真主体ではなくて、あくまで街の情報が主体でした。ただ、その形態を上手くビジネスに発展させることは私にはできませんでした。
吉清 最初は写真メインのサイトではなかったんですね。
伊藤 はい。ただ、当時からサイト運営のおまけとして古いコンデジで市川の写真を撮って公表していたのですが、何の基礎もできていない下手な写真でも見て下さる方がいたんです。そこで「じゃあ、写真をきちんと勉強しよう」と思って。独学ですが、まずは図書館で撮影関係の本をかたっぱしから読む事から始めました。その後サイトの運営も写真メインにして、今のような形になっていきました。
吉清 市川で写真を撮る時の風景への視線や、シャッターを切る基準はどのようなものなんですか?
伊藤 写真を撮る基準と言うのは正直全くなくて、その日その時撮影に行って良いものをカメラに収めてくるだけです。ただ、写真を撮っていて思うのは「市川って色々良い景色が残っている街なのだな」という事。シャッターを切っているとその事を実感させられる事は凄く多いですね。市川に住んでいなかったら、写真を撮ることを続けられなかったと思います。
吉清 江戸川沿いの風景などは良く撮られていますし、素晴らしいものが多いですよね。これは江戸川というロケーションに愛着があるから?
伊藤 もちろんそれもありますが、もっとストレートに言えば自宅から自転車で行きやすいロケーションだ、という事(笑)。
冬場は良いのですが今の時期は日の出が早く、日の入りも遅い。例えば日の出前にカメラを準備して朝焼けを撮ろうとするとやはり自宅から遠くアクセスに時間のかかる場所はちょっとキツいんです。
吉清 移動の範囲も、その辺に左右されると。
伊藤 市内の移動は殆ど自転車なので、時間的な問題はやっぱりありますね。
吉清 確かに今の時期に日出の午前4時頃を目指して国府台近辺から行徳へ行くと、午前3時前位に起きて準備して、という事になりますね。毎日それはちょっと辛い。
伊藤 勿論江戸川以外の、例えば妙典や行徳にも撮りに出かけることがあります。江戸川沿い以外にも良い風景は沢山あると思います。旧江戸川沿いなんかも良いです。
吉清 旧江戸川沿いは大雪の時に撮られていますけれど、あの河川敷は貸しボート屋があったり、船が停泊していたりして独特の郷愁みたいな物を感じますよね。ところで伊藤さんの写真を見ていると、きちんと事前に構図などを詰め、作りこんだ写真を撮られるのだなという印象を受けるのですが。
伊藤 そうですね。写真家の中には、瞬時に色々な構図を作れる方もいるのだと思いますが、私は残念ながらそうではないので予め絵になる構図を決めてそこで待つ、という撮り方が多いですね。
吉清 頭の中に出来ている絵を探しに行くような?
伊藤 はい。もしくは、今までの市川での撮影経験から、この場所で、この時間で、この季節だったらだいたいこういう風景があるかな?という予測を立てて撮影していくような形です。
吉清 スカイツリーに月が懸かる一枚なんかは、構図が事前にできていますよね。
伊藤さんは写真教室も運営されていますが、スカイツリーは、市川の風景を改めて再確認する良い基準になりそうですね。市内から江戸川を挟んで望む、都心というか。
伊藤 あとは市川橋と総武線や京成線の鉄橋とかも、お好きな方が多いかもしれません。レインボーブリッジみたいに存在自体が観光名所になっているわけではなくて、ごく普通の橋ではあるんですが、丁寧に撮影するとスタイリッシュな感じになりますね。
吉清 市の境が江戸川で、そこに架る橋なので市民の方にすると、唯の橋という以上に思い入れがあるのかもしれませんね。仕事から帰ってくる時、市川橋や総武線の鉄橋を渡ると「ああもう家だな」と実感するとか。
伊藤 確かに、色んな方にお話をお聞きすると橋を越えると家に帰ってきたという感覚を持つ方が多いみたいですね。
吉清 逆に、市内に完全に入ってしまうと絵になる風景って結構減ってしまう印象ですが…。住宅地が多いですし。
伊藤 いえ、私も市川の隅々まで知っているわけではありませんが、きちんと観察すれば撮影できる場所って決して少なくないと思うんですよ。
季節ごとに楽しめるポイントが多くあるように思います。
吉清 毎日、足で撮影している事ならではの情報の蓄積は大きいですよね。例えば先日まちメモにアップされていた、蛙が紫陽花の上に乗っている一枚(まちメモ5月31日掲載)は凄く良かったです。
伊藤 ありがとうございます。でも、撮影していると私なんかより街の風景を知っている方が沢山いらっしゃいますよ。毎朝散歩しているお父さんなんかには全然敵わない。例えば里見公園でまれにバラの中に蛙が入ることがあるのですが、そのことも里見公園で良く毎日のように写真を撮っている方に教えていただいたんです。日々写真を撮る中でよくお会いする方に挨拶すること、お話しすることは大事な事だと思います、とても貴重な情報をもらえたりしますので(笑)。ともあれ、毎日同じ場所で写真を撮っていると、写真を撮っていなければお話しすることはなかったであろう個性的な方ともお話しできますのでそういう所も近所で日々写真を撮る面白みの一つだと思います。
吉清 毎日足で撮影をする事が大事だということ。
伊藤 そうですね。そこそこ綺麗でスタイリッシュな写真を、という事だったら週に一回撮りに出かけるだけで大丈夫かもしれません。でも本当に面白い写真というのは運良く撮れる物だと思うんですよ。ですからその為にはできる限り毎日足を運んで日々のちょっとした違いに気づきながら撮影する事が大事だと思います。市川は東京のすぐ隣であるにも関わらずこれだけ自然が残っています。私は国府台に住んでいるので特に強く感じるのかもしれませんがかなり恵まれた環境であるのは間違いないと思います。また、江戸川も物凄く大きな存在で、水辺があるだけで物凄く豊かな風景が作られているな、と思います。今回の写真展で市川の身近な素晴らしい風景に、少しでも気付いていただければ、嬉しいです。
吉清 本日はありがとうございました。
まちメモウェブサイト
http://machi-memo.jp/ichikawaeki/
文まとめ・太郎

市川ゆかりの作家展
「伊藤智通展〜市川の風景〜」
会場・木内ギャラリー
(市川市真間4-11-4)
7月19日(木)〜7月29日(日)
※23日(月)は休館
開館時間9時30分〜16時30分
【アーティストトーク】
作家自身による作品解説
「四季折々、市川で楽しめる風景を紹介しながら作品を解説」
7月29日(日)
13時30分〜14時00分(30分予定)
会場・木内ギャラリー
*参加無料、事前申込不要
【お問合せ】
TEL047-371-4916
(市川市木内ギャラリー)